日本では、小学3・4年生で外国語活動が始まり、5・6年生になると外国語を教科として学びます。海外では何歳から学校で別の言語を学ぶのでしょうか。
ヨーロッパの資料を見ると、制度上の開始年齢には3歳から10歳までの幅があります。ただし、この数字を比べるには「何の開始年齢か」を知っておく必要があります。
ヨーロッパでは3歳から始める地域もある
欧州の教育情報ネットワークEurydiceによる2023年版の調査をもとに、学校の主な授業言語とは別の現代言語を、制度上必修で学び始める年齢を比較しました。就学前教育も対象に含まれます。
| 国 | 開始年齢 |
|---|---|
| ルクセンブルク | 3歳 |
| ポーランド | 3歳 |
| フランス | 6歳 |
| スペイン | 6歳 |
| イタリア | 6歳 |
| フィンランド | 7歳 |
| デンマーク | 7歳 |
| オランダ | 10歳 |
早く始める国の代表例がルクセンブルクです。ただし、そこで幼い子どもが最初に学ぶのは、必ずしも英語ではありません。ルクセンブルクでは、ドイツ語やフランス語など複数の言語が教育や暮らしと結びついています。
日本との比較で注意したいこと
日本では2020年度から、小学3・4年生の「外国語活動」が年間35単位時間、5・6年生の教科「外国語」が年間70単位時間を標準としています。
3年生は一般に8〜9歳。開始年齢だけなら、6〜7歳から始める国より遅く見えます。しかし、国ごとに授業の位置づけや時間数、学校外で言語に触れる環境は異なります。
また、上の比較表は2021〜2022年度の制度を示したもので、各国の2026年現在の制度を一律に示すものではありません。
早く始めれば、英語が得意になる?
開始年齢が早いことと、学習成果が高いことは同じではありません。
ドイツの約2万人の生徒を対象とした研究では、英語学習を始めた学年による、9年生時点の聞く力・読む力の差は小さいものでした。研究者たちは、小学校で学んだ内容を中学校でどう引き継ぐかにも注目しています。
もちろん、一つの研究からすべての国や教室に同じ結論を当てはめることはできません。開始時期のほか、学習時間、指導方法、継続性、言葉を使う機会も見ていく必要があります。
何のために、その言語を学ぶのか
日本では外国語教育というと英語を思い浮かべがちです。しかしヨーロッパには、隣国の言語や国内の別の言語を学ぶ地域もあります。言語を学ぶ理由そのものが、社会によって違うのです。
子どもの英語教育を考えるとき、開始年齢は一つの手がかりになります。ただ、その数字だけでは見えてこないものもあります。誰と、何を話し、どんな世界に出会うための学びなのか。そんな問いも一緒に持っておきたいところです。
参考資料・さらに知りたい人へ
- European Commission / Eurydice(2023)『Key Data on Teaching Languages at School in Europe』 — 2021〜2022年度の欧州の学校言語教育についての比較報告。
- OECD『Skills Outlook 2023』第7章 — 開始年齢を含む現代言語教育の国際比較。
- 文部科学省(2025年)外国語教育に関する資料(PDF) — 小学校3・4年生の35単位時間、5・6年生の70単位時間など。
- Baumertほか(2020) — 学習開始時期とその後の英語力を検討したドイツの研究。