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なぜ英語は書いてあるとおりに読めないのか? 綴りに残された言葉の歴史

英語には、同じ綴りでも違う音で読む単語があります。例えば though、through、tough。どれも「ough」を含むのに、発音はそれぞれ異なります。

なぜこんな違いが生まれたのでしょうか。英語の文字には、長い歴史の痕跡が残っています。

今は読まない文字にも、かつて音があった

「夜」を意味する night の「gh」は、現在の一般的な英語では発音しません。しかし中英語では、こうした綴りが摩擦音を表していました。

その音は、後の時代に多くの単語で消えました。一方、tough などでは「gh」が現在の「f」の音になっています。「gh」が同じでも読み方が違うのは、単語によって音の変化の道筋が異なったためです。

発音が変わる一方で、綴りは定着した

英語の発音史でよく知られるのが「大母音推移(Great Vowel Shift)」です。おおむね14〜17世紀に、長母音の発音が連鎖的に変わりました。現在の time の母音も、かつては今とは違う音でした。

同じ頃、書き言葉の綴りも少しずつ標準化されていきます。1476年にはウィリアム・カクストンがイングランドに印刷機を導入しました。印刷技術は、一定の綴りが広まることを後押ししました。

ただし、印刷機の登場によって一度に綴りが決まったわけではありません。標準化はそれ以前から始まり、その後も続いています。発音と綴りは、それぞれ異なる速さで変化してきたのです。

綴りは、単語どうしのつながりも伝える

heal(癒やす)と health(健康)は、発音する母音が違います。それでも、綴りを見れば両者のつながりに気づけます。

英語の綴りには、発音だけでなく、単語の意味や構造、語源の関係を示す面があります。音に合わせてすべて書き換えればよい、とは単純に言えません。

もちろん、綴りと発音には規則性もあり、すべてが例外というわけではありません。読めない単語に出会ったら、それを単なる不便さではなく、言葉が歩んできた歴史の手がかりとして眺めてみるのも面白そうです。

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